プロローグ |
人生っていうモンは やろうと思えばゲームみたく楽しいものになる・・・はず。 たぶん。 「ふぃ〜〜、よく寝た。ところで今何時だ?」
伸びをしつつ部屋の時計に目をやると。
「へーまだこんな時間か。まだ…………ってもうこんな時間じゃねーか!!
わたわたとベッドから起き上がり慌てて学校へ行く準備を始めた少年、
短めの髪の毛に寝癖がついているがそんなのを直している余裕はない。 「母さん、俺行ってくるから。」 母親がエプロンで手をふきながらキッチンから出てくる。
「朝ご飯は?」 京介は母親がキッチンから持ってきたお弁当の包みを受け取った。 そして玄関で愛用のシューズをはいて勢いよく家を飛び出そうとした時、後ろから呼びとめられた。
「京介、俺今日2講目からだからお前の学校寄ってやるよ。乗ってけ。」
さすがにこんな有り難い申し出を断わる程、京介も馬鹿ではなかった。
『小上優』は京介の5つ上のお兄さんである。
母、英子親曰く
+ + +
東堂学園は某都市のはずれにある男子校だ。 京介は慌ててシートベルトをはずし、後部座席においてあったバッグを手に取り車を降りた。
「急げよ、もう時間ないぞ。」 優に見送られ玄関まで走って行くと、よく見知った人物を発見した。 「駿!」
京介の声に気付き振り向いた長身の少年。 「よお。お前朝練サボっただろ。」 いきなりの駿の問いかけに、京介は思わず足を踏み外しそうになってしまった。 「ば、馬鹿言うな。いつも通り家を出てだなあ駅に向かうとなんか事故があったらしくて足止めくらってたんだよ。」 なんとか誤魔化そうと試みるがどうにもこうにも京介の視線は泳ぎまくりである。
「へー、そりゃ大変だったな。なんて信じると思うか?京介が朝練開始5分前にも家で寝てたっつーことは裏付け済みなんだよ。」
駿の思いがけない発言に思わず間の抜けた声を出してしまった。
「なかなかお前が来ないから電話したらさ
『あ〜京介兄ちゃんね、まだ寝てるよ。蹴っても殴っても鼻と口塞いでみても起きないから放っておくことにしたんだ。ゴメンね駿君。』 『麗奈』は京介の妹で小上家の末っ子で、これまた京介と違って小学生ながらしっかりした少女である。
京介はガックリ肩を落とし、要らぬまで正直に説明し、更に半殺人行為を犯した妹を恨んだ。 「じ、じゃあさそれを知ってるんだったら勿論キャプテンに上手く言っておいてくれたよな?」 キラキラ瞳を輝かせて駿を見ると、 「当然だな。安心しろ、ありのままを忠実に説明しておいたサ。お前だけ放課後は外周プラス30周だってさ。」
頑張れよ!
「なんでそんなことしたんだよ〜!?駿〜!この薄情者!!!」
ぽかぽかと殴る京介の攻撃を防御しながら、駿は反論した。
「ネタなんていくらでもあるだろ!例えば盲腸とか。」 ぴこーんっと、どこから取り出したのかわからないピコピコハンマーで駿は京介の頭を叩いた。
「それじゃあアキレス腱が切れたとか!?」 すぱーんっ!と今度も出所不明のハリセンで駿は京介の後頭部を思いっきり殴った。
「インフルエンザだったらどうだ!?」
ぎゃあぎゃあ言い騒ぐ京介と駿を気にも止めず通り過ぎていく他の生徒達。 その漫才も一段落ついた丁度その時、
「げっ、急げ京介。」
三階の教室に向かい廊下を駆ける二人。 【第42回東堂学園生徒会役員選出選挙】
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