これからはじめるCFD
BOY'S GAME

  • 登場人物が多いので、簡単な人物紹介ウィンドウを用意してみました。⇒ぽちっとな

    プロローグ
    人生っていうモンは

      やろうと思えばゲームみたく楽しいものになる・・・はず。

    たぶん。




    「ふぃ〜〜、よく寝た。ところで今何時だ?」

    伸びをしつつ部屋の時計に目をやると。
    短針は8のちょっと手前を指していた。

    「へーまだこんな時間か。まだ…………ってもうこんな時間じゃねーか!!
    やっべ、寝坊した。なんで目覚まし鳴らないんだよ〜!?」

    わたわたとベッドから起き上がり慌てて学校へ行く準備を始めた少年、
    『小上京介』は健康的に日に焼けた肌に少しとぼけたような顔立ちをしている。

    短めの髪の毛に寝癖がついているがそんなのを直している余裕はない。
    準備を終えバタバタと階段を降りリビングにひょこっと顔を出す。

    「母さん、俺行ってくるから。」

    母親がエプロンで手をふきながらキッチンから出てくる。

    「朝ご飯は?」
    「食べてる時間なんかないって。」
    「じゃあコレお弁当。お昼は学食で済ませなさい。」
    「サンキュ。」

    京介は母親がキッチンから持ってきたお弁当の包みを受け取った。

    そして玄関で愛用のシューズをはいて勢いよく家を飛び出そうとした時、後ろから呼びとめられた。

    「京介、俺今日2講目からだからお前の学校寄ってやるよ。乗ってけ。」
    「マジ?ありがたいぜ優兄貴!」

    さすがにこんな有り難い申し出を断わる程、京介も馬鹿ではなかった。
    ガレージにある優の車に真っ先に乗りこむ。
    続いて優が運転席に乗り込み愛車のエンジンをかけた

    『小上優』は京介の5つ上のお兄さんである。
    トボけた性格の京介と違い、優はしっかりとした性格だ。
    優はかなり優秀な生徒の集まる大学の学生でその中でも特に頭のキレる学生だ。

    母、英子親曰く
    『優も京介も同じように生んだつもりなのにねぇ、どうしてこんなに違うのかしら。
     私の知らない所で頭でもぶつけたのかしら?』
    と小首をかしげるほどの違いっぷりである。


     

    +        +        +


    車を走らせること30分。
    京介の通う東堂学園の校門前に到着した。

    東堂学園は某都市のはずれにある男子校だ。
    運動系の部活に力を入れており、全国大会の常連になっている部活も少なくない。

    京介は慌ててシートベルトをはずし、後部座席においてあったバッグを手に取り車を降りた。

    「急げよ、もう時間ないぞ。」
    「おぅ、マジ助かった。サンキュー優兄貴。」

    優に見送られ玄関まで走って行くと、よく見知った人物を発見した。

    「駿!」

    京介の声に気付き振り向いた長身の少年。
    『葵 駿』は京介と小学生以来のつきあいである。
    小学生の双子の弟が居るせいか面倒見が良い。
    たまに性格の悪いこともするが、その使い分けが京介と長く友人をやってこれた秘訣なのだろう。

    「よお。お前朝練サボっただろ。」

    いきなりの駿の問いかけに、京介は思わず足を踏み外しそうになってしまった。

    「ば、馬鹿言うな。いつも通り家を出てだなあ駅に向かうとなんか事故があったらしくて足止めくらってたんだよ。」

    なんとか誤魔化そうと試みるがどうにもこうにも京介の視線は泳ぎまくりである。

    「へー、そりゃ大変だったな。なんて信じると思うか?京介が朝練開始5分前にも家で寝てたっつーことは裏付け済みなんだよ。」
    「は?」

    駿の思いがけない発言に思わず間の抜けた声を出してしまった。
    ついでに、かなりの間抜け面をさらしてしまった。

    「なかなかお前が来ないから電話したらさ  『あ〜京介兄ちゃんね、まだ寝てるよ。蹴っても殴っても鼻と口塞いでみても起きないから放っておくことにしたんだ。ゴメンね駿君。』
    って麗奈ちゃんが丁寧に説明してくれた。」

    『麗奈』は京介の妹で小上家の末っ子で、これまた京介と違って小学生ながらしっかりした少女である。

    京介はガックリ肩を落とし、要らぬまで正直に説明し、更に半殺人行為を犯した妹を恨んだ。
    しかしそんなことを言っても仕方がないので気を取り直して駿に向き直った。

    「じ、じゃあさそれを知ってるんだったら勿論キャプテンに上手く言っておいてくれたよな?」

    キラキラ瞳を輝かせて駿を見ると、

    「当然だな。安心しろ、ありのままを忠実に説明しておいたサ。お前だけ放課後は外周プラス30周だってさ。」

    頑張れよ!
    と付け加えて爽やかな笑みでグっと親指を前に突き出す。
    それとは対照的に京介の顔色は血の気がどんどんひいていくようであった。

    「なんでそんなことしたんだよ〜!?駿〜!この薄情者!!!」
    「失礼なこと言うな、今まで何回お前の遅刻誤魔化してやったと思ってるんだよ!?さすがに俺だってネタ切れだ。」

    ぽかぽかと殴る京介の攻撃を防御しながら、駿は反論した。
    その光景は、まさに子どものケンカ(京介のみ)である。

    「ネタなんていくらでもあるだろ!例えば盲腸とか。」
    「アホか。そんなのにかかってたら今頃学校なんかにゃ来ねーよ。」

    ぴこーんっと、どこから取り出したのかわからないピコピコハンマーで駿は京介の頭を叩いた。

    「それじゃあアキレス腱が切れたとか!?」
    「一体どうやって学校来んだ?第一歩けねーよ!!」

    すぱーんっ!と今度も出所不明のハリセンで駿は京介の後頭部を思いっきり殴った。

    「インフルエンザだったらどうだ!?」
    「医者に登校すんのダメ出しされるに決まってるだろう!もっとマシな理由考えろ!!」

    ぎゃあぎゃあ言い騒ぐ京介と駿を気にも止めず通り過ぎていく他の生徒達。
    それというのも 1年生の時に上級生を引きずり下ろしサッカー部レギュラーを勝ち取った事件と、
    ボケとツッコミの役割がはっきりしている今や日常茶飯事となったこの漫才が毎日のように行われる為、 学校のなかではある程度有名になっていたからである

    その漫才も一段落ついた丁度その時、


    キーンコーンカーンコーン


    HR開始の鐘が鳴り響く。

    「げっ、急げ京介。」
    「おうっ。」

    三階の教室に向かい廊下を駆ける二人。
    常日頃部活で鍛えられているのでスピードは速い。
    階段で担任を追い越した。
    コラーッ!お前ら!!、などと怒鳴られたがそれにはシカトを決め込むに限る。
    途中、京介の視界に飛びこんできた一枚の大きなポスター。
    そこに書かれていたのは

    【第42回東堂学園生徒会役員選出選挙】


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